​ヒュブリス

​動く死体達による、記憶の演劇。

【原案】

Mary Shelly

『Frankenstein:or The Modern Prometheus』

眼におじさんがあって

おじさんの家の中には草が生えていて

耳に文鳥があって

私の帰りを待っていつも鳴いていて

腕に包丁があって

たどたどしくトマトを切っていて

指に「ねりけし」があって

どこまでもどこまでもまっすぐ伸びていって

背中にアスファルトがあって

スカートの中身は結局覚えていなくて

鼻に豚があって

それは初恋の想い出でもあって

月の光を浴びて森の中を走っている

でも、それが月だということも知らない

まだ泉に映る顔を見ていないから

自分が怪物だと気付いていない

この作品は世界で最初のSF小説と言われているメアリー・シェリー作『フランケンシュタイン』を原案とした、身体劇である。フランケンシュタインと言えば、ツギハギの頭にボルトが刺さった大男が「あー、うー」と呻く…という映画のイメージが強いが、原作はそうではない。フランケンシュタインというのは科学者の名であり、彼が生み出した大男は『怪物』という名である。怪物は非常に美しく、知性に溢れ、憎悪と愛情に満ちている。

『ヒュブリス』は、この怪物誕生のシーンから発想を得ている。怪物の材料となった死体たち・様々な身体の部位…腕、足、口、腹、頭など。これらの身体に宿るであろう、愛おしくも滑稽な個人の生前の記憶を再生し、舞台上に怪物を表象させようということが、この作品のテーマである。

ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス
ヒュブリス